最近、長年JA11型ジムニーを大事に乗っている友人が、そのジムニーをリストアすることを決意しました。彼はこのクルマをずっと愛し続けていて、できる限り当時のオリジナルの状態に戻したいとのこと。そこで、リストアのために大量の写真を撮り、僕に送ってくれたのです。
届いた写真の中には、エンジンルームやシャーシの細かい部分、シートの状態、ボディの錆具合など、かなり細かく撮影されたものが多く、まさに「JA11を極めるための資料」といった感じでした。実は僕もJA11には興味があったので、せっかくならこの機会に徹底的に調べてみようと思いました。
JA11とはどんなジムニーだったのか?
JA11は、1990年から1995年まで販売されていたジムニーの3代目(SJ30/40の後継)で、スズキ初の本格的な軽ターボ4WDとして誕生しました。それまでのジムニーは、自然吸気(NA)エンジンが主流だったのですが、JA11はターボを搭載することで、走行性能が一気に向上しました。
JA11が特に注目されたのは、オフロード性能の高さと、シンプルなメカニズムです。特にラダーフレーム構造を継承し、3リンクリジッドアクスル式サスペンションを採用していたため、悪路での走破力は当時の軽自動車の中でも群を抜いていたと言われています。
JA11のエンジン「F6Aターボ」の魅力
送られてきた写真の中には、エンジンルームの詳細な写真もありました。友人のJA11は年式の関係もあり、エンジン周りには結構きれいな状態です。しかし、彼はこれをフルオーバーホールして、リフレッシュさせるとようで、作業的には足回りまでの修理を入れているようです。
JA11に搭載されているエンジンは、F6A型 660cc 直列3気筒ターボ。これがまた、今乗っても楽しいエンジンなんです。
軽自動車初のターボ4WD
それまでのジムニー(SJ30やJA71)では、自然吸気の2ストロークや3気筒ターボエンジンが使われていましたが、JA11ではついにF6Aターボが搭載されました。最高出力は64PSで、これは現在の軽ターボと変わりませんが、トルクの出方が独特で、低速域からしっかりとした力強さを感じられます。
軽量なボディとの絶妙なバランス
JA11の車両重量は約900kg程度と非常に軽量でありながら、F6Aターボのパワーがしっかり効くので、走り出しが軽快です。特にオフロードでは低速からの粘りがあり、ギアをうまく使えば難所もスイスイ進めるのが魅力でした。
メカニカルなフィーリング
実際にJA11を運転したことがある人なら分かると思いますが、エンジン音やターボの音がダイレクトに伝わってくるのが特徴です。現代のターボ車と違って、アクセルを踏み込むと「ウィーン」というタービン音が聞こえ、その後にトルクがぐっとかかる感じ。これが「走らせている感覚」を味わわせてくれるんです。
JA11のオフロード性能
JA11は、現行のJB64やJB74と比べてもシンプルな構造の分、ダイレクトなオフロード性能を発揮します。送られてきた写真には、アンダーボディの錆やや劣化具合が写っていました
剛性の高いラダーフレーム
ジムニーといえばラダーフレーム構造。JA11もその例に漏れず、しっかりとしたフレームを持っています。30年以上経った今でも、多くのJA11が現役でオフロードを走っているのは、このフレームの頑丈さのおかげと言えます。
3リンクリジッドアクスルの足回り
現在のジムニー(JB64/JB74)でも採用されている3リンクリジッドアクスルは、JA11がすでに採用していたシステムです。特にフロント・リアともにリジッドアクスルなので、ねじれに強く、どんな悪路でも安定して走れるというのが大きなポイントでした。
パートタイム4WDの切り替え
JA11は、手動でのパートタイム4WDを採用しています。通常はFR(後輪駆動)で走行し、オフロードや悪路ではトランスファーレバーを操作して4WDに切り替える仕組みです。このシンプルなメカニズムが、長く愛される理由のひとつとなっています。
JA11のデザインと内装
送られてきた写真には、内装のレトロな雰囲気もたっぷりと収められていました。ダッシュボードのデザインやメーター周りを見ても、今では考えられないほどシンプルで機能的な作りになっています。ただシートやハンドルはセンス良く変えられています。
写真を見ても感じましたが、メーターもシンプルで、まさに「必要な情報だけがある」という潔さ。エアコンやオーディオのスイッチも物理ボタンで操作しやすく、無駄がない設計です。
レトロなスクエアデザイン
JA11は、見た目が四角く、クラシックなオフローダーそのものです。最近のジムニー(JB64)も「ヘリテージデザイン」を意識してスクエアなボディラインになっていますが、その元祖とも言えるのがJA11です。
JA11は今もなお愛される名車
回、友人のJA11のリストア計画を通じて、改めてこのクルマの魅力を深掘りしてみました。シンプルで頑丈な構造、レトロなデザイン、ターボエンジンの楽しさ、そして本格的なオフロード性能など、改めて調べてみると「今乗っても楽しい軽クロカン」ということがよく分かりました。
これから友人がどのようにリストアを進めていくのか、今後の進捗が楽しみです。送ってもらった写真を整理しつつ、次回は具体的なリストアの工程やパーツ選びについてもまとめてみたいと思います。